GA JAPAN 134
¥2,566(税込)
表紙は、青い天空に「祖形/景」をあらわすような、内藤廣さんの「静岡県草薙総合
運動場体育館」。県知事も「登呂遺跡」をイメージした形は、藤森照信流に言えば、
古代のインターナショナル直後(本号の特集を参照ください)、列島の原型かもしれ
ません。昨今の単に施設的すぎる流れに対して、2階レベルの水平の窓越しに青空が
見えて、真っ直ぐな木のシェルに包まれた感覚のあるアリーナは必見です。
■作品
なかまちテラス 妹島和世
解説:様々な活動が混じりつながっていく空間 妹島和世
静岡県草薙総合運動場体育館 内藤廣
解説:思いつき 内藤廣
同志社京田辺会堂 柏木由人+Olivia Shih
解説:現象と印象の"ずれ" 柏木由人
旭町診療所 田邊曜
解説:閉じながら開いていく内外の連続性 田邊曜
ミュウミュウ 青山店 Herzog & de Meuron
作品紹介は充実の9題。妹島和世さんの「なかまちテラス」は、「中と外」「さま
ざまな活動」が混じり合うような構成。何より実際に建物を訪れて驚くのは、「テ
ラス」という名の通り、「町内の集会所」のような、日常的で気楽で身近な感覚が
生まれること。今後の使われ方が楽しみな建築です。
ヘルツォーク&ド・ムーロンの「ミュウミュウ 青山店」は、日本のものづくりをリ
スペクトしたというミウッチャ・プラダと設計者による、まるで工芸品のような建
築プロジェクト。建築とプロダクト、抽象と具象の間のものづくりに、日本のつく
り手はとても刺激を受けるのではないでしょうか。
■特集
[歴史観なき現代建築に未来はないII] 黒船襲来に対する6人の識者の見解
日埜直彦「現代建築と歴史の不健康な状態」
磯崎 新「〈黒船〉にどう処すべきか」
石山友美「群像劇から見える歴史の一面」
戸田 穣「蓄積とアウトプットのギャップ」
藤森照信 「歴史なき20世紀建築の歴史」
デイヴィッド・スチュワート「日本の現代建築を〈外〉から見ると」
特集は、2年前の第1回に続き、「歴史観なき現代建築に未来はない」の第2回
「黒船襲来」編。これまでも「黒船」=ガイジンに教えてもらう歴史イメージが、
多大なインパクトを及ぼした日本の近代建築史。当然、日本にも歴史家はちゃん
といるのに……「それって、どういうこと!?」といった問題提起から始まった
企画。外来の建築文化の受容と、歴史の内側からの目線、外側からの目線を重ね
合わせて、現代建築と歴史観の関係を読み解きます。わたしたちの現代建築が、
どこから続いてきているのか、いま、建築をつくる時にも、歴史観が栄養になる
ことは間違いありません。
■学校建築4題
流山市立おおたかの森小・中学校、こども図書館、センター 小嶋一浩+赤松佳珠子
解説:約2,200平米に離散した森的なL壁 小嶋一浩・赤松佳珠子
立川第一小学校・柴崎図書館/学童保育所/学習館 小嶋一浩+赤松佳珠子
解説:自在に離合集散できる風車状の壁柱 小嶋一浩・赤松佳珠子
龍谷大学深草キャンパス 和顔館 飯田善彦
解説:町のような場所を生むオープンな構成" 飯田善彦
港区立小中一貫教育校 白金の丘学園 日建設計
解説:流れによって街のような学校をつくる 日建設計
作品紹介後半は学校建築4題。現代の学校建築は、一時期のプログラム分析は成熟
を迎え、公共性や都市との関係を反映させた取り組みになっています。PLOTでも
設計プロセスを追っていた、CAtの「流山おおたかの森小・中学校」「立川第一小
学校」も遂に完成しました。「宇土市立宇土小学校」からどのように進化したか、
乞うご期待。
■PLOT
「(仮称)飯山ぷらざ」編
設計:隈研吾、語り手:隈研吾・川西敦史・寺川奈穂子・田中邦明
phase 4:現場での決定事項
PLOTでは、隈研吾さんの「飯山ぷらざ」の設計プロセスを紹介。完結した形を反復
しがちだったホール建築を考え直していきます。ズラリと並んだイスだって空間の一
部で、それをどのように考えられるか。GA JAPAN 132の特集「ホールの現在形」
にも通じるかもしれません。
■時評
エッセイ 地球の景色 3 藤本壮介
■連載
二川幸夫の眼 7 石山修武
「二川幸夫の眼」では、石山修武さんが登場。石山さんならではの二川幸夫像をお
話いただきました。
■GA広場
「海に浮かぶ島々におかれたオブジェ」妹島和世
直島パヴィリオン,小豆島のバス停
「異ならない場所をつくる〈1/f ゆらぎ〉」K&H+佐藤淳
The University DINING
「木組ユニットと透明フィルムによる有機的なパヴィリオン」隈研吾
The One 南園パヴィリオン
連載 :ロボットはコンピュータの夢をかたちにするか?⑦ アンズスタジオ
GA広場では、藤本壮介さん、島田陽さんのプロジェクトを紹介。瀬戸内海にできた
2つのオブジェからも、モノを生み出すパワー、追求することのスゴさ、そして、
そんなこと感じさせず発揮される魅力を実感できるのでは。
アンズスタジオの連載では、「動き」と「時間」が反映された
プロジェクトのレポート。日本でも時々あるけど一段階違う。ぜひ一度見てみたい!
192 total pages, 68 in color
ISBN978-4-87140-933-9 C1352
2015年5月1日発行
¥2,333+税