権力の空間/空間の権力 個人と国家の〈あいだ〉を設計せよ
¥1,980(税込)
ハンナ・アレントは『人間の条件』の中で古代ギリシアの都市に触れて「私的なるものと公的なるものとの間にある一種の無人地帯」という奇妙な表現を使っている。
アレントの主著を読み解きながら、現代の都市と人々の生活が抱える問題をあぶり出し、われわれが未来を生き抜くために必要な都市の姿を提示する。
第一章 「閾(しきい)」という空間概念
1 "no man's land"とは何か?
2 ポリスの空間構造、そして「閾」という空間概念
3 集落調査I──外面の現れ(appearance)
4 集落調査II──「閾」のある家
第二章 労働者住宅
1 アルバート館
2 労働者住宅の実験──親密なるもの
3 隔離される住宅
4 共同体的居住システム
5 "物化"という概念
第三章 「世界」という空間を餌食にする「社会」という空間
1 労働は労苦なのか生きがいなのか
2 仕事の世界性
3 世界から社会へ
4 鳥のように自由な労働者
5 社会はどのように管理されるのか
第四章 標準化=官僚制的管理空間
1 一円入札
2 権力は下から来る
3 官僚制的統治は空間的統治である
4 標準的空間
5 標準化という美学
6 「1住宅=1家族」システム
7 搾取されているのは労働力ではない
第五章 「選挙専制主義」に対する「地域ごとの権力」
1 「性現象」のための住宅
2 模範農場で卵を産む鶏
3 世界を共有しているという感覚
4 住民参加による建築の設計、そして反対派
5 コミュニティという政治空間
6 選挙専制主義に対する評議会という権力
7 「地域社会圏」という考え方
日本語
264頁・四六判・2015年