無垢の壁でつくる

自然石や穴あきレンガ、コンクリート打ちっぱなし、プレハブの土留めなど、堅牢な建築にはさまざまな素材が使われるが、その使用には地域的な背景があることも少なくない。

バレアレス諸島のマヨルカ島の首都パルマの郊外には、地元の伝統的な建築様式を取り入れた社会住宅がある。その堅牢な壁とアーチ型の天井は、地元で採石された赤みがかったベージュ色の砂岩で作られる。イギリスのデボンシャー州では、何世紀にもわたって石灰岩の堅牢な壁が景観を特徴付けてきた。レッドヒルの納屋を住宅に改築したものも、この伝統を引き継いでいる。南チロルのブリクセンでは、音楽学校の建物も同様に、古風なものと現代的なものの間を取り持っている。赤みがかったコンクリート打ちっぱなしの壁は、ポルフィリーでオフセットされ、歴史的な市街地への入り口を示す。フランクフルト・アム・マインのロマン主義博物館では、現場打ちコンクリートと気泡コンクリートによる強固な構造で、「青い花」に象徴される芸術運動の精神を巧みに伝える空間体験を実現している。

4月号のエッセイでは、プロジェクトドキュメントに先立ち、プレハブの粘土素材の利点を紹介する。

ドイツ語・英語
104頁
210 x 297 mm
2022.4